貰える老齢厚生年金受給額をできるだけ増やす方法として以下の3つをご紹介します。
1.60歳以降も働くことで経過的加算額が増える
大学を卒業して勤め始めた場合は60歳でまだ厚生年金加入が40年に満たないケースがほとんどかと思います。
その場合に会社を辞めて任意加入制度で国民年金を納付すれば、老齢基礎年金が増えるという話は老齢基礎年金を増やす方法として前にご紹介しました。
会社に継続して勤めた場合は国民年金を納めることがでず、老齢基礎年金は増やすことができませんが、代わりに経過的加算という制度があり、ほぼ同じ額を老齢厚生年金として増やすことができます。
例えば20歳~3年間、国民年金を任意加入時に納めてなく、23歳~60歳まで会社勤めした場合、40年には3年足りないことになりますが、60歳以降も働いて40年になった場合、65歳から貰える老齢厚生年金が年間いくら増えるかというと
1,628円*厚生年金加入月数(上限480ヵ月)-
777,800円(令和4年度老齢基礎年金)*20歳から60歳までの厚生年金加入月数/480ヵ月
=71,946円増えるということになります。
これは会社を辞めて国民年金に3年間加入した場合に基礎年金に増額される額とほぼ同額になり、違いは厚生年金が増えるか、基礎年金が増えるかになります。
従って、これだけでは働いても厚生年金と基礎年金を合わせた額はあまり変わらないことになりますが、働くことでもう一つメリットがあります。
2.働くことで報酬比例部分の年金が増える
経過的加算に加えて、報酬比例部分の年金が増えていきます。経過的加算は40年という限度がありますが、報酬比例部分は70歳まで厚生年金の事業所に勤務していれば年金が増えていきます。
例えば給与収入が年額240万円だとすると、貰える年金は年間約1万3千円増えますので、60歳~65歳まで働いたとすると
65歳から貰える年金は
1万3千円 * 5年 = 約6万5千円 となりますので、
60歳で仕事を辞めた人より約6万5千円増額された年金を毎年受け取れることになります。
さらに65歳以降も同様に年額240万円で働いた場合は、現在(2022年4月以降)は在職定時改定により、毎年、年金額が計算されて改定されますので、毎年、年金に約1万3千円が加算されていくことになります。
3.繰り下げ受給
65歳から老齢厚生年金を貰わずに66歳以降に受給を遅らせると、1か月遅らせる毎に0.7%増額された年金を受給できます。仮に66歳から貰い始めた場合は、通常の8.4%増額した年金を受給できますので、単純に計算すると78歳直前で総受給額が追い付く計算になります。
ただし、65歳から貰う厚生年金に奥様が年下の場合は加給年金約39万円がプラスされますが、繰り下げ受給をすると加給年金もストップしてしまいますので該当する場合はそれを考慮して計算する必要があります。
以上、貰える老齢厚生年金を増やす方法として3点ご紹介しましたが、年金を多く貰うために最も重要なのは長生きすることだと思いますので、できるだけ長く健康でいられるように努力することが何より大事なことだと思います。
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