年金繰り下げ受給を検討すべき理由

受け取る年金を増やす方法

人それぞれ状況が異なるとは思いますが、65歳以降も仕事を継続している人や、退職金や貯蓄等で65歳から年金を貰わなくても大丈夫という人は、ぜひ年金の繰り下げ受給を検討してみてはいかがかと思います。

<平均寿命まで生きた場合には繰下げた方が得>

日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約85歳ですが、例えば65歳時点の平均余命だと男性約84歳、女性約89歳となります。

繰り下げは1か月遅らせる毎に月0.7%年金額が増加します。例えば3年遅らせて68歳から貰い始めた場合、通常の65歳から貰い始めた場合の25.2%増加した年金を貰えることになり、試算すると80歳時点で65歳から貰い始めた受給総額を追い抜く計算になります。
5年遅らせて70歳から貰い始めると同様に42%増額した年金が貰え、82歳で65歳から貰い始めた年金総額を追い抜く計算となります。

ただ、65歳から貰って投資等で運用益を見込むこともできるということや、増額になったことで社会保険料や税金が増える可能性があること等を考慮すると、実際の損益分岐点はもう少し後ろで考えるべきかもしれません。
仮にざっくりと2年後ろ倒ししたとすると、68歳から貰った場合は82歳、70歳から貰った場合は84歳で追いつくことになります。これで65歳男性の平均余命とトントンという感じになります。

<繰り下げを選択する場合の注意点>

繰り下げで1つ考慮しなければならないことは、厚生年金に20年以上加入している場合、妻が年下のケースでは妻が65歳になるまで夫の厚生年金に加給年金(年間約39万円)がプラスされますが、繰り下げ期間中は加給年金もストップしてしまいます。また、加給年金は繰り下げても増額はされません。

従って加給年金も考慮して計算すると損益分岐点は更に後ろになりますが、厚生年金と基礎年金は別々の時期に貰い始めることが可能なので、妻が年下の場合、厚生年金は65歳からもらうことにして、基礎年金のみ繰り下げるということも可能です。
ただ、厚生年金をそれなりに貰える人の場合は繰り下げにより増加する年金も多くなりますので、加給年金を貰えない期間を考慮しても繰り下げた方が得になることもありますので、厚生年金、基礎年金をそれぞれいつから貰い始めるのが良いか試算してみる必要がありそうですね。
ちなみに2020年時点では、厚生年金を繰り下げた人は厚生年金受給者全体の1%程度だそうですが、今後は増えていく可能性があるとのことです。

<繰り下げた場合のその他のメリット>

1.繰り下げ中に繰り下げをやめることが可能
例えば病気になり、まとまったお金が必要になった場合等に、繰り下げをやめて5年前まで遡って一括で年金を貰うということが可能です。例えば69歳の時点で65歳からの4年間分の年金を一括で貰うことが可能です。その場合は当然ながら、その後は増額無しの年金をもらい続けることになります。
繰り下げ中に万が一、本人が亡くなった場合でも家族が5年前まで遡って未受給の年金を申請することができます。

従って65歳になって年金を貰い始めるか迷っている場合は、取り敢えず貰わずに様子を見るという手もあると思います。

2.繰り下げで増額した年金を貰う喜び
繰り下げて通常貰う年金額よりも増額した年金を貰う喜びはあると思います。
基礎年金については満額でも約78万円ですが、もし繰り下げたことによってそれ以上貰えるのであれば、人より多く貰えるという喜びと優越感もあるかもしれません。もちろん、それで得になるかは終わってみないとわかりませんが。(笑)

3.女性の場合は平均余命を考慮すると男性以上にメリット大きい
女性の場合は平均寿命が男性より5歳~6歳上になりますので、繰り下げでメリットを得る可能性はより大きいと言えます。

現在は75歳まで繰下げができるようになっています。個人的にはそこまで繰り下げた場合、資金的な面の不安と、長生きできなかった場合の貰い損のリスクが大きいことから、どうかなと思いますが、いずれにしろ総合的に考えていつ貰い始めるか自分なりに結論を出してみる必要はあると思います。
ちなみに私自身、少しばかり年金の繰り下げを選択しましたが、これが良かったのか悪かったのかは神のみぞ知るということになります。
でも平均寿命まで生きれば特になるので、平均寿命まで生きたら「繰り下げて正解だった」と喜びたいと思っています。

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